介護職員初任者研修は、介護の入門資格にあたるもので、介護現場で必要な基礎知識と技術を身につけるための研修です。以前の「ホームヘルパー2級」に相当し、無資格・未経験からでも受講できます。
厚生労働省の定めたカリキュラム(合計130時間)を修了し、修了試験に合格することで資格が取得できます。年齢・学歴・国籍などの制限は一切なく、誰でも受講が可能です。
・入浴・排泄・食事介助などの身体介助を単独で行える
・訪問介護(ホームヘルプ)を含む介護業務に従事可能
・生活援助だけでなく、専門的で責任のある介護業務を担当できる
・就職や転職時に有利になり、資格手当や給与アップにつながる場合がある
・上位資格(介護福祉士実務者研修、介護福祉士など)へのステップアップの基盤になる
資格を持たない場合、生活援助中心となり、身体介助は有資格者の指導・監督下でしか行えません。そのため、資格の有無で業務範囲・待遇・キャリア形成に大きな違いがあります。
介護職員初任者研修(旧・ホームヘルパー2級)を取得すると、以下のような職種や職場で活躍の幅が大きく広がります。
訪問介護(ホームヘルパー)
利用者の自宅へ訪問し、食事・入浴・排泄といった身体介護や掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行います。1対1で深く利用者に寄り添うケアが求められる仕事です。資格がなければ身体介護は担当できず、資格保持が必須の職場も多く存在します。
特別養護老人ホーム(特養)
要介護度が高い利用者が入所する施設で、入浴・排泄・食事などの身体介助を中心に、24時間体制での支援を行います。多様なケア経験が積める環境です。
通所介護(デイサービス)
高齢者が日中施設を訪れ、食事・入浴・排泄などの身体介護や、レクリエーション、機能訓練などを受けるサービスです。夜勤がなく、プライベートとの両立もしやすい働き方です。
デイケア(通所リハビリ)
医療的な側面が強く、リハビリ中心の支援を行う老人保健施設や病院通いのサービスです。介護職員は、専門職の指導のもと生活支援にも携わります。
有料老人ホーム
入居者の状況に応じて柔軟に対応する必要があり、身体介護のほか生活支援やレクリエーション企画にも関わります。多様なスキル習得に最適な現場です。
グループホーム
認知症の方が少人数で共同生活を行う施設では、入浴・食事・排泄の様な身体介護に加え、料理や園芸などのレクリエーション支援も行います。密な関係性を構築できるのが特徴です。
介護老人保健施設(老健) および 介護療養型医療施設
在宅復帰や長期療養を目的とした施設で、リハビリ支援や医療に近いケアも行います。多角的な介護スキルが求められます。
医療施設(病院/看護助手)
看護助手として患者の食事・入浴・排泄などの身体介護を担当します。資格の有無で雇用条件が異なる現場も多く、あると信頼性が高まります。
● 家族介護・サービス業での活用
資格で得た知識や技術は、家族介護にも活かせます。また、サービス業でのコミュニケーションやサポートスキルにも応用可能です。
● 就業サポート制度を活用した就職
一部のスクールでは研修と併せて就職支援があり、研修後すぐに働ける制度もあります。
▶資格の種類
公的資格
▶受講方法
通学型、または通信+通学(スクーリング)併用型
※通信のみでは取得不可。実技研修は必須。
▶受講時間
合計約130時間(自宅学習最大40.5時間+通学で実技演習約89.5時間)
→1ヶ月集中なら1日4〜5時間、2ヶ月なら1日2時間程度が目安
▶取得費用
民間スクール:3万円台〜10万円程度
ハローワーク職業訓練や自治体補助制度を利用すれば無料で取得可能
▶試験
修了試験は筆記形式(記述式中心)。
▶難易度・合格率
難易度は低め。しっかり研修を受講すれば合格率はほぼ100%
初任者研修修了の上で取得可能な、さらに専門性を高められる資格もあります。仕事の幅や支援対象を広げたい人に有効です
〉〉喀痰吸引等研修
医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養など)が可能に。医療ニーズの高い現場で活かせます。
〉〉福祉用具専門相談員
福祉用具の選定や使い方の相談を担います。利用者への支援提案力が向上。
〉〉行動援護従業者養成研修/強度行動障害支援者研修
知的・精神障がいの方への支援技術を習得できます。加算対象となる資格でもあり強みになります。
〉〉移動介護従業者(ガイドヘルパー)養成研修
外出支援を専門に行うスキルを習得。社会参加支援に関わる仕事に適しています。
〉〉同行援護従業者養成研修
視覚障がい者の安全な移動支援および情報提供の技術を習得できます。
介護職員初任者研修は、介護職への第一歩にすぎません。その後、より実践的・専門的な知識と技術を身につけるために、以下のような段階的なキャリアアップが可能です。
●ステップUP1 介護福祉士実務者研修(実務者研修)
初任者研修の上位に位置する資格。研修時間は約450時間ですが、初任者研修修了者は一部(約130時間分)が免除され、短縮取得が可能です。
●ステップUP2 国家資格「介護福祉士」
実務者研修修了後、3年以上の実務経験を積めば、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。介護福祉士は、介護職の中で信頼性が高く、現場での指導やケア計画策定など、より責任ある役割を担います。
●ステップUP3 認定介護福祉士(民間上位資格)
国家資格の介護福祉士の上位資格として位置する民間認定です。リーダーとして他の介護職員への指導、教育、多職種連携を担える存在になります。取得には、指定養成研修と介護福祉士資格+5年以上の実務経験が必要です。
●ステップUP4 ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護保険制度に基づくケアプランを作成・調整する専門職。受験資格として「介護福祉士として5年以上かつ900日以上の実務」などが求められます。将来、制度面や相談支援など幅広く活動したい方におすすめです。
長野県では民間スクール・医療法人・社会福祉法人など多様な研修実施機関があります。
● ニチイ学館(長野校・松本校・伊那校・岡谷校・上田校 ほか)
● 三幸福祉カレッジ(長野市・松本市ほか)
● 医療法人 長野寿光会(上山田病院)(千曲市)
● 長野県高齢者生活協同組合(長野市ほか)
※詳細等は各機関に直接ご確認ください。
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管理人 9月 7th, 2025
Posted In: 介護・福祉, 公的資格, 医療、健康, 医療関連, 福祉関連, 誰でも受験できる